表彰式の様子
■大臣賞表彰式
コロナ禍で開催を見送っておりました表彰式ですが、本コンテストの協賛企業であるAIG 損害保険株式会社様の セミナールームをお借りし 4 年ぶりに実施することが出来ました。 文部科学大臣賞のお二人をご招待いたしました。
表彰式
■開催日時
2024年 3月 25日(月)
■開催場所
錦糸町 アルカウエスト 21F
■式次第
- 1.開式
- 2.コンテスト実行委員長挨拶 松﨑 泰世
- 3.来賓紹介
- 4.審査委員長挨拶 石隈 利紀 様
- 5.文部科学大臣賞表彰 小学生の部 松原 光希 さん
- 6.文部科学大臣賞表彰 中学生の部 石塚 花 さん
- 7.来賓祝辞 仲村 健二 様
- 8.閉式
■ご来賓
- 文部科学省 初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 仲村 健二 様
- 漫画家(代表作「Dr. コトー診療所」) 山田 貴敏 様
- 福岡県 PTA連合会 副会長 鬼頭 良典 様
- 福岡県 PTA連合会 事務局次長 城戸 みゆき 様
- 兵庫県 PTA協議会 会長 竹内 有希 様
■文部科学大臣祝辞
第十七回いじめ防止標語コンテスト 文部科学大臣祝辞
第十七回いじめ防止標語コンテストが、多数の応募のもとで開催されましたことに、心よりお祝い申し上げます。
そして、この度受賞された皆さん、おめでとうございます。
第十七回を迎えた本コンテストにおいて、皆さんの作品はいずれも、いじめの問題に対して、真剣に考え、いじめの防止・根絶を呼びかける強いメッセージが感じられる作品であったと思います。
いじめは決して許されるものではありません。これは誰もが分かっていることです。しかしながら、テレビや新聞などでも報道されている通り、深刻ないじめが起こっているのも事実です。
いじめを防ぐためには、皆さん自身が自分たちの手でいじめの問題に向き合い、考え、行動を起こし、いじめを解決しようとすることがとても大切です。
ぜひ、今回受賞された皆さんや本コンテストに参加した皆さんのみならず、学校にいる多くの仲間たちと一緒にいじめ防止に向けて挑戦してみて欲しいと考えています。そして、皆さんで考えたことを広めていくことで、学校全体で「いじめは決して許さない。見て見ぬふりをしない。」という雰囲気を作って頂きたいと思います。
皆さんのこれからの人生においては、いじめの問題への向き合い方と同様、様々な問題について考え、自分自身で解決する力を身に付け、行動していくことがとても大切になります。皆さんが勇気と責任感を持った人間に成長し、仲間や自分を大切にできる大人になることを、心から楽しみにしております。
結びに、これまで熱心に指導してこられた先生方や御家族の方々など、受賞者を支えてこられた皆様、及び本コンテストの開催に御尽力された関係の皆様に心からの敬意と謝意を表しますとともに、本コンテストの一層の御発展を祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。
令和六年三月
文部科学大臣 盛山 正仁
■表彰式の様子
文部科学大臣賞 小学生の部 松原光希さん
文部科学大臣賞 中学生の部 石塚花さん
審査委員である漫画家の山田貴敏先生から、似顔絵のサプライズプレゼントがありました
審査講評
審査委員長 石隈利紀先生
東京成徳大学大学院 心理学研究科 特任教授
筑波大学 名誉教授
一般社団法人 学校心理士認定運営機構 理事長
審査委員 品川裕香先生
教育ジャーナリスト
株式会社薫化舎 取締役副会長
いじめ防止標語コンテストも17回目を迎えました。入賞された皆様、本当におめでとうございます。
「いじめられる人にも原因がある」という考えが主流だった2006年、安倍内閣教育再生会議が「いじめは集団に発生する暴力であり、反社会的行動」と定義を変えました。いじめ防止標語コンテストはその翌年からスタート。当初、「いじめをなくそう」等どこか第三者的な標語が多かったのは時代を反映していたからかもしれません。「直接、いじめる人だけでなく囃し立てる人や傍観している人も加害者だ」との考えが広まるに連れ、そういう標語が増えていき、近年は「多様性を認めよう」「個性を認め合おう」などダイバーシティの時代にふさわしいものから、「加害者にもケアが必要」「大人はもっと気づいて」というものまで、さまざまな思いを込めた標語をたくさんいただくようになりました。
実は私は、17年目にして初めて、悩みながら最終審査会に参加いたしました。というのも、今年は「普通」という言葉が使われた標語がたくさんあったからです。
皆さんが同調圧力の一つの表現としてこの言葉を使ったであろうことは想像に難くありません。ですが「普通」という言葉には、正常(normal)、一般的(general)、普段の(usual)、平凡(ordinary)、ありふれている(common)、平均的(average)などいろいろな意味があります。標語の中には多数(majority)という意味で使っているものも散見されました。
意味やニュアンスが多様な言葉は、話者と受け手それぞれの価値観や文化の影響を受けやすいため理解にズレが生じやすく、ときに誤解に繋がることもあります。そして、こういった誤解がいじめの発端になるケースを私はたくさん見てきました。だから今年は迷いに迷ったのでした。
言葉は難しいけれど、でも、人間には言葉を使って思考し、課題を発見し、解決していく力があります。これからも言葉を慎重に使い、いじめ防止のために何ができるのか、どうしたらよりベターな世の中に変えていけるのか、一緒に考えていきたいと思っています。諦めず、前進していきましょう。
審査委員 山田貴敏先生
漫画家(『Dr.コトー診療所』著者)
今回の作品は、良い意味でも悪い意味でも直接的な表現が多かったと思います。良い意味ではよりポジティブに、悪い意味ではよりネガティヴに。そして本音が込められた作品、自分自身の言葉で表現されたと感じられる作品が多かったように思います。
過去にはいじめを客観的に見ているなと感じられる作品も多く見受けられたのですが、昨今はいじめに加担する人や、加担しなくてもただ静観していた人たちの生の声も作品を通して聞こえてきているように思います。
このコンテストが開催されるようになってから17年、私は17回の標語審査を通していじめの深さを思い知らされました。いじめは決して許されません。それなのに、なぜいじめは無くならないでしょうか、いじめの境界はどこなのでしょうか。審査のたびに考えさせられます。
標語作品からは「今」のいじめの実態も少なからず伝わってきます。例えば、みんなが携帯を持つようになったことで仲間はずれの枠が広がってしまったり、いじめの枠がいろんな分野に拡散されて面白半分とも取れるいじめが増えていると感じました。でも一方で、作品からみなさんのいじめに立ち向かおうとする気概も感じました。
依然いじめは無くなっていません。でも無くならなかったとしても、みんながいじめについて考え続けることで、将来いじめを少なくできると私は信じています。一緒にがんばっていきましょう。
今年も多くの方にコンテストに応募いただきありがとうございます。そして受賞者の皆さまおめでとうございます。どれも素晴らしい作品でした。
審査全体に関しての講評として2つお伝えしたいと思います。
1つ目は、多くの応募作品の中に「ふつう」という言葉が出てきました。みんなが「ふつう」でなければいけない、みんなが一緒でなければいけない。これを心理学では「同調圧力」と言います。コロナの中では電車の中で咳をするとみんながイヤな目で見る、これも「同調圧力」です。普通でなければいけないという圧力がいじめの背景にあるのではないか、ということで多くの方が「ふつう」という言葉を取り上げ、「ふつうを押し付けないで」「自分は自分で良いんだ」「みんな違って良いんだ」というメッセージを寄せてくださいました。
2つ目は、ケンカといじめの違いです。私たちは友達であれクラスメイトであれ、お互いに個と個がぶつかる中で嫌なこともありますしケンカもあります。でも相手の気持ちを理解して、いじめは防ぐ。いつも平和で何も起こらないということではなく、現実には色々とぶつかることもあるけれど相手の気持ちや権利を尊重していじめを防ごう、ということです。
今年も皆さんの多くの作品の中から私は希望を持つことが出来ました。いじめを防ぐ、そして平和な世界を目指して一緒に進んでいきたいと思います。
皆さんのご参加、そして周りの方たちのご協力に感謝いたします。本当にありがとうございました。